スクラムガイド
https://www.scrumguides.org/docs/scrumguide/v2016/2016-Scrum-Guide-Japanese.pdf
スクラムをやるのであれば、チーム全員で最低限共有しておきたい前提やルールが記載されています。
学んだこと
スクラムの定義
複雑で変化の激しい問題に対応するためのフレームワークであり、可能な限り価値の高いプロダクトを生産的かつ独創的に届けるためのものである。
スクラムは1990年代初頭から、複雑なプロダクト開発の管理に使用されてきた。
スクラムフレームワークは、スクラムチームとその役割・イベント・作成物・ルールで構成されている。それぞれに目的があり、スクラムの成功や利用に欠かせない。
スクラムのルールは、役割・イベント・作成物から、関係性や相互作用を統括する。
スクラムの理論
スクラムは、経験的プロセス制御の理論(経験主義)を基本にしている。経験主義とは、実際の経験と既知に基づく判断によって知識が獲得できるというものである。
反復的かつ漸進的に最適化とリスク管理を行うところが、理論としてとても良いと感じた。
経験的プロセス制御の実現
以下の3本柱に支えられている。
- 透明性
- 検査
- 適応
スクラムの価値基準
5つの価値基準を上手に実践する。
- 確約(commitment)
- 勇気(courage)
- 集中(focus)
- 公開(openness)
- 尊敬(respect)
スクラムチーム
スクラムチームはプロダクトオーナー・開発チーム・スクラムマスターで構成される。スクラムチームは自己組織化されており、機能横断的である。
スクラムチームは、プロダクトを反復的・漸進的に届けるための能力を持っている。
プロダクトオーナー
プロダクトオーナーは、開発チームの作業とプロダクトの価値に最大化に責任を持つ。その作業は、組織・スクラムチーム・個人によって大きく異なる。
プロダクトバックログの管理に責任を持つ1人の人間であり、プロダクトバックログの優先順位の変更については、プロダクトオーナーと相談する必要がある。
開発チームに作業を依頼できるのは、プロダクトオーナーだけであり、開発チームもプロダクトオーナー以外から作業依頼を受け付けてはいけない。
開発チーム
開発チームは、各スプリントの終わりにリリース判断可能な「完成」したプロダクトインクリメントを届けることのできる専門家で構成されている。インクリメントを作成できるのは、開発チームのメンバーだけである。
自己組織化されているチームのため、プロダクトバックログをリリース判断可能な機能のインクリメントに変える方法は、誰も教えてくれない。
スクラムマスター
スクラムマスターは、スクラムの理解と成立に責任を持つ。そのためにスクラムマスターは、スクラムチームにスクラムの理論・プラクティス・ルールを守ってもらうようにする。 スクラムマスターは、スクラムチームのサーバントリーダーである(訳注:メンバーが成果を上げるために支援や奉仕をするリーダーのこと)。
スクラムマスターは、プロダクトオーナー・開発チーム・組織をさまざまな形で支援する。
スクラムイベント
定義されているミーティングに対して、時間を取って、それ以外は極力取らないという方法はとても面白い。
スプリント
スクラムの中心はスプリントである。これは、「完成」した、利用可能な、リリース判断可能なプロダクトインクリメントを作るための、1 か月以下のタイムボックスである。
スプリントは、スプリントプランニング・デイリースクラム・開発作業・スプリントレビュー・スプリントレトロスペクティブで構成される。
スプリントの中止
スプリントはタイムボックスの終了前に中止でき、スプリントを中止する権限があるのは、プロダクトオーナーのみ。
スプリントプランニング
スプリントの作業はスプリントプランニングで計画する。これはスクラムチームの共同作業だ。
スプリントプランニングでは、スプリントで何ができるか、選択した作業をどのように成し遂げるのかという質問に答える。
スプリントゴール
スプリントゴールはスプリントの目標セットであり、プロダクトバックログの実装によって実現するものである。
計画するときには、スプリントゴールを念頭に置き、スプリントゴールを達成するために、機能や技術を実装する。
デイリースクラム
デイリースクラムとは、開発チームが活動の速度を合わせ、次の24時間の計画を作る15分 間のタイムボックスのイベントである。前回のデイリースクラムから行った作業の検査と、次回のデイリースクラムまでに行う作業の予想を行う。
複雑にならないようにするため、毎日、同じ時間・場所で開催される。
スクラムマスターは、開発チームにデイリースクラムを開催してもらうようにするが、デイリースクラムを開催する責任は開発チームにある。
スプリントレビュー
スプリントレビューとは、スプリントの終わりにインクリメントの検査と、必要であればプロダクトバックログの適応を行うものである。
スクラムチームと関係者がスプリントの成果をレビューし、価値を最適化するために次に何ができるかを参加者全員で話し合う。
スプリントレトロスペクティブ
スプリントレトロスペクティブは、スクラムチームの検査と次のスプリントの改善計画を作成する機会である。
スプリントレビューが終わって、次のスプリントプランニングが始まる前に行う。
スクラムの作成物
スクラムの作成物は、作業や価値を表したものであり、透明性や検査・適応の機会を提供するものである。
プロダクトバックログ
プロダクトバックログは、プロダクトに必要なものがすべて並べられた一覧であり、プロダクトに対する変更要求の唯一の情報源である。プロダクトオーナーは、プロダクトバックログの内容・可用性・並び順に責任を持つ。
プロダクトバックログは決して完成せず、プロダクトや使用環境に合わせて進化する。
プロダクトが使用されて価値が増加し、市場からフィードバックを得られると、要求の変更が変化し続ける。ビジネス要求・市場の状態・技術の変化が、プロダクトバックログの変化につながる。
ビジネス要求から技術までを全て一元管理している状態は、とても理想的だと感じました。
スプリントバックログ
スプリントバックログは、スプリントで選択したプロダクトバックログアイテムと、それらのアイテムをプロダクトインクリメントにして届け、スプリントゴールを達成するための計画を合わせたものである。
スプリントバックログは詳細で、今後も変更される可能性のある計画である。
インクリメント
インクリメントとは、これまでのインクリメントの価値と今回のスプリントで完成したプロダクトバックログアイテムを合わせたものである。
インクリメントが動作する状態であり、スクラムチームの「完成」の定義に合っていることを意味する。
作成物の透明性
スクラムは透明性に依存している。作成物の状態を把握することで、価値の最適化やリスクの制御に関する決定を行う。透明性が確保されている限り、こうした決定には信頼できる根拠が存在する。
「完成(Done)」の定義
プロダクトバックログアイテムやインクリメントの「完成」を決めるときには、全員がその「完成」の意味を理解しておかなければいけない。