【読書】具体と抽象 ー 世界が変わって見える知性のしくみ

私は自分自身や所属する組織などに対して、課題意識を持ちながら生きるようにしています。

日常で感じる問題は、1つ1つがバラバラになって存在するように見えますが、よく考えてみると1つの問題が潜在的に存在して、その問題を解決することでまとめて解決できることがあります。

本質的なことを捉えて行動するためにはどうすれば良いのかを考えるために読みました。

読んだ本

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

思考のレイヤーの中で具体と抽象があること、具体と抽象を意識的に区切って物事を捉えられるようになる本です。

学んだこと

抽象化のピラミッド

具体と抽象についての説明は、下記サイトが大変参考になりました。

具体的なものから、パターンを見つけて共通化していくことが抽象になります。

organization.design

抽象化のピラミッドの上にいくほど、共通点が多くなっていきます。

永遠の議論

「リーダーたるもの、言うことがぶれてはいけない」に対して「リーダーは臨機応変に対応すべし」

このような議論は永遠と続けることができますが、これは視点が抜けているために起こります。

抽象度の高い意見や伝統に関しての意見はぶれてはいけない一方で、具体的な行動に関しては臨機応変に行うべきです。

つまり、抽象度の度合いによって線引きをして、変えるところを決めていく必要があります。

抽象から具体には戻すのは難しい、反対は不可能

プログラミングをやっている人は分かりやすいと思いますが、共通化したメソッドはなかなか元に戻しにくいです。

一方で、そもそも共通化の考え方を知らないエンジニアは当然、共通化することができません。

パクリとアイデアの違い

アナロジー(類推)を行うことは、アイデアを生み出す上でとても重要。

世の中にある多くのアイデアを抽象化して、抽象化された部分から新しい具体的なものを生み出すことでアイデアが生まれる。

一方でアイデアの具体的な部分をそのまま活用することは、パクリと言える。

階層

抽象化して話せる人は、「要するに何なのか?」をまとめて話すことができます。膨大な情報を目にしても、つねにそれらの個別事象の間から「構造」を抽出し、なんらかの「メッセージ」を読み取ろうとすることを考えるからです。

構造化してメッセージを端的に伝えられる人になりたいなと思いました。

抽象化だけでは生きにくい

よくも悪くも身の回りの事象を「解釈」することを覚えてしまった人間は、自然をありのままに眺めることが非常に難しくなってしまっています。抽象レベルの概念はそれが固定化されやすいという性質を持っており、これが偏見や思い込みを生み出し、私たちの判断を狂わせます。

見えている人は見えていない人にいらだちを覚える。表面事象でしかものをとらえられない部下に不満を持つ上司がその典型。

一方で、具体的な行動(=野生の行動力)を忘れ、考えることで行動ができなくなってしまう人もいます。

高尚な理は卑近の所にあり(福沢諭吉)

抽象化と具体化をセットで考えることが重要だということを学びました。

感想

具体を発散させることを忘れずにいたい

親が子供に対してうまくコミュニケーションが取れないのも、年を取っていくと考えが固まっていくのも、年齢と共に経験を積んで、考え方が抽象化していくからなんだろうなと感じました。

多くの物事を経験していくと、その経験をもとに抽象化することができますが、一方で抽象化した考えを具体に戻せるようにしたいです。

考えが凝り固まって新しいことにチャレンジできなくなったら、人間の機能のうち頭しか使えていないです。

人間としての動物的な行動力(具体的な行動)と頭で考えること(抽象化)をセットで行動し続けようと感じました。

見えている世界の明確化

自分が普段見えている世界は、どれくらいの抽象度の部分なのかを意識して生きていきたいです。

愚痴を言いたくなるときもありますが、どの粒度で自分が愚痴を言っているのか、より低い視点・高い視点でものごとを捉えたときにそれぞれの頭の中で何が起こっているのかを考えた上で発言した方が良いなと思いました。

どうやって抽象化のトレーニングを積んだら良いのか?

冒頭の課題である、抽象化が苦手な人に対して抽象化できるようにするためにはどうしたら良いのか、ということは解決するためのアクションが思いついていないです。

大学までの学習で国語や数学を学ぶことで、具体と抽象がある程度できるようになることは知りましたが、抽象化することが苦手な人が、どのようにトレーニングをするのが良いのか疑問に感じています。

抽象化して考えることが苦手な人は、抽象化できるまで、具体的に行動を続けることが重要なのかなと思いました。