【読書】催眠術の教科書

読んだ本

催眠術の教科書 (知恵の森文庫)

催眠術の教科書 (知恵の森文庫)

催眠術について、体系的に書かれている本です。

別に催眠術をかけたかった訳ではなく、心理学の分野への興味から、催眠術についてどのように書かれているのかが気になり、本書を読みました。

学んだこと

催眠術について

ほうきを持たせ「これはギターです」と暗示して音楽を流すと、被験者は音楽に合わせて演奏を始めます。なぜこうなるのかというと、人間は現実の物事をそのまま認識するのではなく、自分が思い込んだものを脳に伝えるからです。人は、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚といった五感を通じて物事を認識していますが、その物事が何であるかを最終的に判断するのは脳です。脳が思い込んだものが、その人の現実になります。

催眠術をかけるための要素

催眠状態は、リラックスしたまま無意識がひとつのことに集中している状態です。では、身体がリラックスしたまま意識がひとつのことに集中していれば、テレビ番組の催眠術みたいなことができるのでしょうか?残念ながら、そうはいかないんです。催眠状態にはなれても、催眠現象を起こすためには、もうひとつの要素が必要です。

催眠術をかけたいのなら、不思議なことを起こすだけではダメなんです。相手に催眠を意識させて、心の基盤を催眠にしておくことが必要不可欠です。つまり、催眠と言わずに相手を催眠にかけることはできないということです。

  • 相手をリラックスさせる
  • 催眠術を始めると伝える必要がある

催眠術をする際には、必ず催眠術を始めると伝える必要があるのは、言われてみれば当たり前ですが、面白い事実だなと感じました。

催眠のかかりやすさ

催眠をかけるときには、「相手との信頼関係」が「催眠のかかりやすさ」と相関することが書いていました。

そのため、催眠をかけるためのテクニックが書いていました。

意識と無意識について

フロイトの意識と無意識についての話が引用されていました。

催眠術では、無意識を氷山の上に持ってくるような感じで、リラックスをしてもらうことが重要だと書かれていました。

無意識を意識に持ってくる方法

潜在意識の性質を考えると「リラックスしてください」と言うより、「緊張していてもいいですからね」と言ってあげたほうがプレッシャーを与えないで済みます。また、緊張の反対は弛緩ですが、小学生の子どもに「身体を弛緩させてください」と言ってもなかなか理解できないでしょう。どんな素晴らしい暗示を与えたとしても、相手が理解できなければただのひとり言です。しかし、メッセージを相手が理解できるのなら、たとえ言葉の通じない相手に通訳をはさんで暗示を与えても、催眠術は充分かけられるのです。重要なのは、メッセージが相手の理解できるものかどうかということです。

実践的なテクニック

催眠術をかけている途中に暗示をかけ続けたり、かかったということを示してあげたり、様々なテクニックがあることを知りました。

テレビでやっている催眠術師は、何か一生懸命に暗示をかけているので、何で一生懸命なんだろうなと思っていましたが、テクニックの種類の1つだと知り、とても面白いなと感じました。

催眠術を正しく活かす

催眠は、その人の中にあるものを引き出す技術なのです。催眠は、好き嫌いの感情まで操作してしまいます。それなら、意中の人に催眠をかけて「私のことが好きになる」と暗示を与えれば、自分のものにできるのでは?と思う人もいるかもしれません。しかし、残念ながら催眠は魔法ではありません。どんなに巧妙な暗示を与えても、人の心を自分のものにすることはできないのです。

無意識は、自分という個体を守るためにあります。個人としての自分を守ろうとする無意識の下には、人間としての自分を守ろうとする無意識があります。そして、その下には自分を動物として守ろうとする無意識があります。無意識は深くなればなるほど、自分を守る力が強くなります。だから、無意識は自分を守ってくれる者と深いつながりを結ぶのです。催眠術を成功させる最大の秘訣は、相手を本気で守ろうとする気持ちを持つことです。

人を傷つけるために催眠術を使うのではなく、正しく理解することが重要だということを学びました。